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会社も家庭も「経営」でうまくいく 杉浦那緒子さん

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2度の復職を経験し、会社も家庭も組織であり「経営」が大切であると語る杉浦那緒子さん。仕事も家庭も頑張る女性だからこそ陥ってしまうジレンマとは?不動産のオフィス仲介、ウェブメディアの運営を行う株式会社ヒトカラメディアのメンバーとして活躍する彼女の姿からは、力強さと自信が感じられました。

仕事も、家庭も、下げられなかった合格ライン

23歳で不動産関連の会社に就職し、転職を経てようやく仕事が出来るようになった頃に結婚、出産を経験。夫は単身赴任中で、私は東京で自由に働かせてもらっているという意識もありました。やりたい仕事が目の前にあっても「何でも自分でやらねば」と、仕事でも家庭でも合格ラインを下げられずパンクしていました。

2度の復職で「手放す」ことを学ぶ

最初の復職を決めたのは、40歳が定年といわれるリクルートという会社で1年でも無駄にしたくないという思いと、ずっと子供と2人だけという生活よりは適度に距離を保ちたいと思ったからです。認定保育所に預けて働くと次の4月に認可園に入りやすくなることも理由でした。さらに、夫が単身赴任中であることも考慮されるので、確実に認可保育園に入れられるだろうということも理由です。結果的に退職に至ったのは、体調を崩したことと、人に頼る・助けてほしいと頼むこともらうことがうまくできなかったからです。いまだに「自分で何とかしなくちゃ」と思うことがあるので、できるだけ手放すようにしています。

充電期間中にいろいろな勉強をして、これまでと近い内容の仕事で働きたい、と考えているときに、前職に近い文化を持つnanapiに2度目の復職が決まりました。まず営業アシスタントのアルバイトから始め、週3回10時から16時から、1年半後には週5回10時から17時まで働くようになりました。

仕事が好きで職場復帰する人は、ブランクを取り返すためにフルスロットルで仕事をやりたくなると思うんですよね。でも、仕事をする上での力を「ビジネス筋肉」と呼ぶのなら、そのビジネス筋肉も体の筋肉も産休育休の間にすっかり衰えている。家庭内も軌道に乗らないうちにフルスロットルで働くと、家庭も仕事も崩壊すると思います。仕事を増やすことは簡単ですが、減らすのは難しいので徐々に増やすくらいがちょうどよい。

「家庭も組織」家庭をマネジメントする

家庭の役割において、いまだに女性の負担は大きい。確かに女性が我慢して動けば家庭は回りますが、万が一女性が倒れたらどうするのでしょうか。家庭も組織なので、代わりも必要だし、話し合いも必要。家庭の基盤はお互いへの尊敬や愛情ですが、それだけを頼りにすることに疑問を感じていました。

充電期間中にフリーとして家計相談を受けていて、経済面のアドバイスやライフプランニングに加え、その計画を実行するためにどのように家族を動かすか、という話になりました。これはビジネスのマネジメントと同じなので、家庭でも上手に取り入れることができたら楽しく暮らしていくことができると思います。やらなければ、と言われていることの大半は案外やらなくてもよいこと。要求はここまでしか応えられません、と自分で決めないと振り回されるのではないでしょうか。

「よそはよそ、うちはうち」

自分の実感としては、組織で働く母の形は大きく分けて二つ。共働きには正社員で働いて家事は外注で済ませる、正社員を辞めてパートで働くという二つの選択肢があります。現在はその二つの間の選択肢がありません。たしかに、その中間の時短勤務があります。しかし、時短勤務で夕飯を作る方が、家事を外注して定時で帰るよりも肉体的にも精神的にも辛いケースがあります。

働き方を柔軟に選べる制度や文化ができればもっと女性は働きやすくなります。社会の変化が激しい中で、稼ぎ手が1人ではリスクもあり、妻が働くことで夫婦の人生の選択肢を増やすことも可能です。

実は専業主婦が市民権を得たのはこの30年くらいで、それまでは自営業で職場と家庭との境目がなく、子育ての手もありました。高度経済成長期に会社員という働き方がメジャーになり、職場と家庭が分断されたので、専業主婦が必要となった、というだけ。

もちろん夫婦のどちらか一方がハイパフォーマンスで働き、それをサポートする形もいいでしょう。しかし、普通に組織で働くのであれば夫婦二人で働き、家事育児をシェアする方が合理的ですし、家族の思い出もできます。

それでも女性が働くことに対して、「なぜ働くの?」「旦那の給料じゃ足らないの?」「子供が小さいのにかわいそう」と批判する方も多いですが、結局は自分と家族が健康でニコニコしていればいい。「よそはよそ、うちはうち」です。

「愛=忍耐、我慢」ではないと思います。共働きであっても家庭を語る言葉はいまだに情緒的であいまい。これまで周りから「女性なのに」と言われてきたのが、子供が生まれたら「母親なのに」ですよ。女性は母親になった途端に聖母になるわけではない。家庭でお母さんだけが眉間にしわを寄せてため息をつき、子供は「お母さん可哀想」と思う家庭ではなく、みんなが楽しく暮らすためのゴールがあって、それに向かって話ができればいい。

「幸福とは希望と環境の一致」という言葉があります。自分が望むことができるのが幸せです。そして、望むことを「誰かに与えられる」のではなく、「自分で選び取る」こと。幸せを感じる対象として家族がありますが、根底には自分だと思います。また、仕事で役に立っている、という実感はやはりうれしいですし、世の中に働きかけられる、子供が羽ばたいていく社会に少しでもよい影響が与えられたら幸せです。

読者へのメッセージ

20代を全力で働いて、その時々で一生懸命にやった結果、今のお仕事をいただいています。出産後の就職活動では、ハローワークのほとんどの求人に通りませんでした。新卒以上に仕事が見つからず、これまで働いてきた中で出会った方の紹介で得たお仕事なので、思い切って転職したことがプラスになりました。

また、大変なときは人に任せることを覚えて、全部自分でやろうとしないことが大切です。優秀な女性でも、頑張りすぎて人に任せること、お願いすることができない人は多い。「家庭経営」で夫や子供にも頼ること、お願いすることを身につけてほしい。家庭という現場から解決案が出てくることも案外あります。人と何かを一緒に作る練習、よい機会だ、と思うといいですよ。

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