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遊ぶ、学ぶ、日常での体験を大切に 想像力を看護に活かす 田渕かおりさん

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看護師として大学病院に勤務した後、現在は横浜の病院で教育担当をしている田渕かおりさん。「『私が受けたい看護』を提供できる後輩を育成することが目標」と明るく語る彼女ですが、当初は看護の指導者になるつもりはなかったそう。看護師を目指した少女時代、そして夢を叶えてからの道のりについて、お話を伺いました。

「人のお世話が好き」看護師を目指したきっかけ

「人のお世話が好き」だと感じて、仕事にしようと思ったのは高校生のときでした。当時はテニス部のマネジャーでしたが、選手もしており大変でした。でも、それがちっとも嫌ではなかった。自分は世話することが向いてる、と思ったのです。ミッション系の学校に通っていたこともあり、キリスト教や聖書に触れる機会が多く、「奉仕」の精神はずっと身近だったことも大きいかもしれません。

本当は、小学生のときから薬剤師を目指していましたが、だんだん理数系が苦手だなと気付いて…とはいえ、OLは自分には無理だと思い、医療看護はどうだろう、と思い始めました。ただ、当時は看護師に対して世間的に良いイメージがなく、家族からは大反対されました。看護系に行きたい、と言ってるのに、親は検査技師や放射線技師など、医療技術系の資格が取れる学校のパンフレットをたくさん持ってきて。短大入学後も、祖母は「卒業してもいいけど、看護師として働くのは認めない」と言ってましたね。今でこそ看護師の社会的地位は上がりましたが、祖母の時代には、人の下の世話までするのは経済的に苦しい家庭の子、という印象で、家族は悲観的に捉えていました。看護師になってからも、「看護師のくせに先生(医師)に指示するな!」と患者さんからも怒られました。

看護師の理想と現実…そして思いがけない転機

1年浪人して看護の短期大学に入学し、卒業後は大学病院に就職して看護師として働き始めました。1年目は無我夢中で、最初の転機が訪れたのは2年目です。一般企業でも2年目になると後輩の面倒を見ますが、看護師の場合、2年目は自分のことで精一杯で、後輩を気にかける余裕はないんです。後輩の面倒を見るように言われることがすごくストレスで…。短大の先生に愚痴を言ったら、ふと「あなた5年経ったら、看護教員養成講座に進みなさい。教員にならなくてもいいから、自分がやってきたことを振り返る機会として、1年行ってごらんなさい」と返されました。後輩の指導について愚痴を言う私に、どうして先生は教員をすすめるのか、意味がわかりませんでした。

それでも、養成講座に進むには実務経験が5年必要なので、一旦その話は置いておきました。5年目に転職した先の病院で「あなたは対象になるから」と、養成講座の試験を受けるように言われて。私のやりたいことは他にある、と断ったものの、「他に受けられる人が少ないから、とにかく受けてほしい。受かっても行かなくていいから」と懇願されました。他にも2名受けて、結果的に受かったのは私だけで行かざるをえなくなってしまったのは盲点でした。留学のためにその頃聞きかじっていた専門資格の領域の資格を取るために英会話を習ったり、貯金をしたりしていたのに、それが講座受講中の生活費に変わってしまうとは…

「わかりました。講座には進学するので、戻ってきたらまた病棟に戻してください」とお願いしたものの、結局1年の間に部長が変わっり、戻ったら教育部に配属。学んだことを即実践したいと意気込んでいた私には不満で…それでも、教育部から病棟には戻れず、1年で転職することにしました。

教育指導者になった今、後輩に伝えたいメッセージ

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その頃、特定の領域のエキスパートや昇格に向けた管理者のレベルを設ける制度が始まりました。私は養成講座を受講していたので、ファーストレベルという管理者の第1段階の認定をもらえることになって、そのまま転職先でセカンドレベル(第2段階、師長クラスのレベル)の研修まで終えました。当時29歳で、20代は私ともう1人しかいなかった。その頃結婚し、夜勤のない仕事を考えていました。資格も取り、教員に関心を持っていた最中に先輩からお話をいただき、看護短期大学の助手として働くことに。

そこでは、自分で何かするよりも学生の実習に付き添うことがメイン。やっぱり自分でやっているほうが楽しいんです。思いのほか病院勤務のほうが好きだということに気付いて、4年で退職しました。

その後、現在の病院に転職して今に至ります。ここでは「私が受けたい看護」を提供できる後輩を育成することが目標。寝たきりの方を介助するときも、体の動かし方一つに人間性が表われます。機械的にこなすのではなく、おむつを替えるときに露出を最小限にする、寒さ対策をする、といったところも大切ですよね。それができない人が結構いる。自分で経験しないとわからないんです。

だからこそ看護師には、「自分だったらどのような看護を受けたいか」という想像力が必要。そのためには、日常生活でのどんな体験も大切にしてほしいし、いろいろ経験してほしい。遊ぶときは思いきり遊び、勉強もしっかりする。そして、楽しむことが、将来的に患者さんに寄り添った看護をすることにつながるのだと思います。

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