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患者さんの傍にいる存在として 診療看護師 ステーシー・ポールさん

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日本でも制度が始まった「診療看護師」(Nurse Practitioner)。看護と医学の視点を持ち、医師不足を救う存在として注目されています。アメリカでは、専門教育を受けた看護師が患者の診察や処置を行います。イリノイ州シカゴの病院で診療看護師として働くステーシーさんのお話からは、仕事への使命感、そして日本への思いが伝わってきました。

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アフリカでの経験から看護の世界へ

大学時代は公衆衛生を学び、研究助手として働き始めました。上司は精神科医で、職場環境や仕事に恵まれていたこともあり、診療看護師になるため大学院進学を決意。看護学学士を1年で修め、診療看護師の修士プログラムに進みました。同じプログラムには、私のように公衆衛生やビジネス、化学などを大学で学んだ学生もいました。

診療看護師になったきっかけは、研究助手時代に、所属していた教会のボランティア活動でアフリカのザンビアを訪れたことです。私は現地の人たちに手洗いを教えましたが、薬を処方することも注射を打つこともできませんでした。ただ話をすることしかできなかった経験から、実際に現場で医療行為を行いたいと思い、診療看護師を志しました。

医師と診療看護師との違い

私の担当する患者さんは、2歳から21歳の若い方たちです。専門は精神医学で、子供への診察、処置、薬の処方が主な仕事ですが、成人の診察をすることもあります。診療看護師は診察、薬の処方、MRIやX線検査などを行います。一方、手術や重症の患者は医師が担当します。(※診療看護師の権限は州や病院によって異なります)

医療現場での苦悩、そしてやりがい

現場ではひどい虐待を受けた子供たちに接することもあります。精神的に落ち込んで自殺を考える子たちは、身の安全のため病院に来てもらいます。しかし、子供やその両親が同意しない場合児童保護の手続きが必要となり、説得できない場合は強制的に入院してもらうこともあります。子供や両親が納得せず病院側を脅迫することもありました。私たちは子供たちや家族を救おうとしているのに、彼らを傷つけると思われてしまうのはとても辛いです。

一方、誰かを救うことができると感じられるとき、仕事のやりがいを感じます。ある11歳の女の子は文字を読むことができませんでしたが、知能検査で問題はなく、ADHD(注意欠如・多動性障害)であることが判りました。セラピーや投薬の結果、3ヶ月後には全く読めなかった本を一冊読めるようになったのです。短期間でこれだけの進歩があったことに本当に驚きました。

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傍にいる存在として

日本では診療看護師の数は少ないですが、アメリカでもまだ制度が十分に浸透していない部分があります。しかし、長い時間を過ごす診療看護師に対して多くの患者さんは好意的です。また、看護学を学び、病気に対して様々なアプローチができることが強みといえるでしょう。例えば、ホームレスや離婚などの社会的な要因は病気に大きく影響することも理解しています。看護師や診療看護師は患者さんから必要とされていると感じます。

私はクリスチャンなので、神が望むことを実現すること、周りにいる人達に共感したり、許したり、慈悲の心で接することで幸せになってもらいたい。他者を助けたい、喜ばせたいというのが私です。

他者を助ける、という考え方は診療看護師の仕事でも役に立っています。単に生物学や医学に興味を持っているだけでは十分ではありません。忍耐力が求められます。お金を稼ぐだけ、科学が好きなだけでは務まらない仕事です。どれほど優秀であっても、患者をひどく扱うのであれば医師や看護師とは呼べないと思います。

女性の共感力を活かしてほしい 日本女性へのメッセージ

子供のころから日本文化に触れて育ち、日本をたびたび訪れているのでいつか移住したいと思うくらいです。私は仕事とプライベートのバランスが大事だと思います。日本で女性が働くことは大変だと思います。しかし、自分をいたわることはとても大切です。他者との心理的な境界線を決めて、自分の人生を楽しんでください。そして、仕事ではベストを尽くしてほしい。ただし、働きすぎて、友人や家族との時間を失ったことを後悔しないようにしてください。

私の職場では、4人の診療看護師全員が女性です。看護の世界は女性中心ですが、今トレーニングをしている2人の診療看護師のうち、1名は女性、1名は男性です。また、医師の男女比はいまや半々です。女性の持つ共感力は、医療の世界で今後より一層必要とされていると思います。

 

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