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『下層化する女性たち』小杉礼子・宮本みち子著

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『下層化する女性たち』小杉礼子・宮本みち子著

今回ご紹介する本は、もはや他人ごとではない貧困問題を女性という視点から分析した一冊。

  • 非正規労働者(パート・アルバイト・派遣労働者)の増加
  • 性役割分業(例:男性は仕事・女性は家庭)
  • 女性の貧困(DV、母子家庭の貧困、子供への貧困の連鎖など)

このようなニュースで取り上げられる内容がテーマです。社会学の専門書ですが、非常に読みやすく書かれています。

内容の要約

労働・家庭からの排除、つまり安定した仕事と、夫や親からのサポートが無い場合、女性は貧困に陥りやすい。また、そこから抜け出すことが非常に難しい

この状況は「女性の自己責任、なまけている」と言い切れるものではなく、社会制度、雇用条件が女性が自立を許さないと考えられます。

自分で自分を守ることが簡単にできない状況、とも言えるでしょう。

若い女性の貧困化の原因に、次の二点が挙げられます。

  • 非正規労働化
  • 有配偶率の低下(=結婚しない割合が増えた)

非正規労働率が増加し、「女性は若いうちは親が養う」「結婚して夫が妻を養う」という選択肢は消えつつあります。

低賃金労働では自立ができず、独身の場合、親が養っている場合も経済的に自立しているとは限りません。

経済的に自立している少数を除き、同居している老親をサポートしている女性の実情が紹介されています。

なぜ女性の貧困は続くのか

日々報道される女性の貧困問題。なぜ状況は変わらないのでしょうか。

政治や社会を変えるには、「これは重大な問題である」と社会に訴えることが必要です。

しかし、結婚しないのは個人の選択、女性の自立が現状では無理と仮定してしまうと、若年女性の貧困を「クレーム申し立て」(=問題であると社会に訴えること)ができません。

言い換えると、結婚しないのは自己責任、女性の自立は無理(=自立していない女性への「個人攻撃」や、女性の自立というテーマの否定にもつながる)という訴えでは社会は動かないのです。

また、本書でも触れられていますが、経済的自立を得た「勝ち組」と呼ばれる女性さえ、精神を病むケースが後を絶ちません。これは「働くのが怖い」「産むのが怖い」という社会のひずみにも繋がると言えるでしょう。

『下層化する女性たち』の提言

女性の貧困への解決策は、不安定な低賃金労働を男女ともに減らすこと、貧困女性へのセーフティーネットを広げることです。

安定した雇用があることで、シングルマザーやDVに悩む女性に自立の道が開けます。社会的な繋がりや「居場所」作りをサポートして女性の孤立を防ぐことで、性産業などから「搾取」される恐れも減ります。

さらに、女性の貧困の問題について関心を持つことが大切です。

女性の貧困には「運」も大きく関わることをご存知ですか?

今の日本は、一度貧困に転がり落ちたら戻れない「すべり台社会」。

失業や配偶者の病気や死去、DVによって突然ホームレスになる女性も紹介されています。

そんな社会の現状をまず見据えることが第一歩です。

まとめ

女性の貧困は、将来を担う子供の貧困にも直結する深刻な問題です。

近年非正規雇用が近年拡大し、女性の自立が困難を伴うため、社会問題として十分に認知されていません。

また、女性の貧困は「こんなにひどい」と報道されることはあっても、社会の理解が十分に得られていないのが実情です。

必要なのは「自立できない人が悪い」「個人の責任」(例:シングルマザーは離婚したのが悪い)という議論のレベルを超えること。

さらに「他人ごと」から、いつ自分が「貧困」の立場になるかわからないという「自分ごと」に置き換える想像力ではないでしょうか。

 

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