ハピゴト ~あなたのお仕事に、もっとときめきを~

<ブックレビュー>『専業主婦になりたい女たち』白河桃子著

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

専業主婦になりたい女たち (ポプラ新書) 白河桃子著

若い女性の”専業主婦願望”とは?

ここ数年「専業主婦志向」が若い女性の間に広がっています。

・好転しない経済

・幸せで豊かな専業主婦が多い母親世代へからの影響

男性の収入が減少する中、かつてのような豊かな専業主婦はごく少数。

そして、夫の収入では生活が厳しいと知りながら、女性がキャリアを捨てているとしたら?

「専業主婦願望」のリアルに迫る一冊。

近著『「専業主夫」になりたい男たち』も必読です。

専業主婦という安定は幻想?

ある女子大での調査では、働くことへの意識は「2・6・2」

バリバリ働きたい女性2割、専業主婦志望2割、6割は中間の「モヤモヤ」。

「女性が働くことは当たり前」と思う学生はまだ少ないようです。

その理由は、多くの母親が「専業主婦」であったから。しかし、この団塊世代の豊かな専業主婦になることは、もはや至難の業。

さらに、「いつかは専業主婦」願望、つまり「家庭を持ったら一時期仕事を辞める」と考える女子大生の割合も高いという結果も。

出産後の正社員での復職が以前厳しい中、経済的リスクの回避のためにも「働くことが当たり前」という軸を著者は提唱しています。

理想の結婚は「ゆるい専業主婦」?

コスパ世代と呼ばれる今の20代。

優雅な生活よりコストコ(※アメリカ系大型スーパー。大量パックで安売りを行う)で「分けっこ」をするような身の丈に合った生活を目指す人が多いようです。

「無駄な見栄を張るために頑張って働くよりも、そこそこハッピーな専業主婦の方がカッコいい」

専業主婦志向の原因の一つは、疲弊した独身女性たちの「働くこと」からの逃避。つまり、消極的選択の場合もあるという指摘は興味深いです。

実際、実家暮らしで家事育児が好きでなくて専業主婦に憧れるケースも。

専業主婦は「ギリギリハッピー」?

実際の専業主婦の例もご紹介します。

・3世代同居ではあるけれど、自分の周囲よりも学歴や夫の会社の知名度が高い「学歴上昇婚」

・期間限定「ゲゲゲの女房」(都会の穴場ワンルームのクリエイター夫妻) 

・プチセレブ生活の元「エビちゃんOL」(※CanCamモデルが象徴する結婚願望の強い女性たち)

・見栄を張らない浦安の年収400万円主婦

注目すべきは、元「エビちゃんOL」も、浦安主婦も、幸福度は変わらないこと。

どちらも貯金はなく、生活はギリギリで、同じように幸せ(そうに見える)ことが共通項。

夫の失業や家計破たんなどのリスクも共通しています。

年収ではなく、幸福の陰にあるのは「夫のやさしさ」。著者のインタビューからはそんな専業主婦の姿が垣間見えます

専業主婦の落とし穴とは?

専業主婦の二大リスクといえば、離婚と夫のリストラ、給料カット。

妻に収入がない場合、予想外の状況に対処するための選択肢が大きく減ってしまいます。

・気づいたらお金がなかった「元バブル妻」(身の丈に合わない出費が夫婦生活を圧迫)

・寝耳に水の離婚

このような事例が紹介されています。

主婦の就職は依然厳しく、資格を取っても子育て中のフルタイム勤務が見つかることは稀。

なぜなら、主婦はや子供の都合に合わせてくれる人材であるため、本格的に復職するには拘束時間が長すぎるのです。

結婚しても細く長くでも仕事を続けるだけで、回避できるリスクがあります。

専業主婦が消える日

専業主婦は「裕福」というイメージもありますが、今一番裕福なのは「正社員共働き夫婦」。

結婚だけでは食べられない時代になり、「専業主婦」という在り方はいずれ消えるだろう、と著者は言います。

これまでの日本は「女性の仕事は不安定でよい」という「夫、親などの家族依存」がモデルでした。

今でも「家庭との両立ができて安定した仕事」が非常に少ないのです。

さらに、シングルマザーの貧困は深刻な社会問題。

日本はOECD諸国の中でも女性の貧困率が飛び抜けて高く、女性の低賃金労働者の割合も高い国です。

この状況を変えるために必要なのは、個人の努力だけでなく、社会全体の意識と制度の変化が必要ではないでしょうか。

おわりに

配偶者控除や3号年金などは「専業主婦叩き」と感情的議論になりがちです。

専業主婦と「守るべき母親像」が結びついている男性も多く、議論は進みません。

一方、少子化、人手不足、長時間労働、「マタハラ」「逆マタハラ」という労働形態の歪みから来る現象は続いています。

「変化が起きるときには必ず犠牲がつきもの」

女性の「がんばり」は限界にきています。

男性や企業が全く変わらず「女性は活躍してね、家事も子育ても介護も任せる」というのは非現実的な話です。

家族のあり方が変わりつつあり、カギは「専業主婦」たちが握っている。

未来への方向性が示されている書ではないでしょうか。

※同著者の近刊「専業主夫」になりたい男たち (ポプラ新書)は、5月15日開催の読書会でも扱います。

詳しくは4月中旬のイベント告知をお待ちください。

関連記事